黒田の会見

 黒田の件ですけどね、私一切発言していなかったんですよ。このブログでも。
それは、なんか突然のお祭り騒ぎに便乗して、彼がマスコミやファンに何か神に祭り上げられてる気がして、ちょっと違うんじゃないかと思ってたんです。でね、昨日の会見みましたが、やっぱりすごいですね。極めて冷静に淡々と現実を話している姿に感動しました。
だって、あれだけ騒がれても「自信はない。不安しかない。」ですからね。普通「頑張ります!」とか言うでしょ。それは先日のイチローと同じような雰囲気を感じました。
物事を本当にわかっている、極めてる人は、周りがどうあろうとも淡々と現実を把握して身丈以上のことは言わないんですよね。

で、彼を神とか男気とかいう安っぽい言葉で崇めるでしょ、皆さん。あれどうなんですかね?黒田に対して申し訳ないと思うんです。
金よりカープ愛を選んだとかマスコミが囃し立てますが、会見みて納得。彼は日本に帰るまで悩んでたんですよ。いや、まだ悩んでいるかもしれない。でも、それくらいお金ももちろんですが、プロとしての意地や、メジャーでも記録やいろんなことを含めてMLBに残ることも考えたはずなんです。で、最終的にもしかして今年最後になったらカープに帰れず引退するかもしれない。そこで、已む得ず今カープに帰ることにしたわけです。

しかも、新井がこれまた重要で、7年前出るときに「自分がでたことが彼の気持ちに動揺を与えたことに責任を感じていた」と言いました。で、今回決断する前に新井が戻ることになり「球団としての懐の深さを感じた」と言いました。これは私が一番驚き、納得した発言でした。つまり逆をいえば、7年前のカープ、もしくは松田元ならこれはありえなかったということなのです。私は決して松田元が好きになったわけではありませんが、少なくとも今回始めてFA流出した選手が2名帰り、しかも一人(黒田)は初めてのFA補強をしたのです。これは、大きな変化であると思います。だから、黒田にしてみればこれは今までのカープ球団とは何か違うと感じたことでしょう。
もしもの話ですが、新井を獲得したことは黒田獲得のためのエサだったとしたら、松田元というオッサンは大した策謀家ですね。真相は本人しかわかりませんが、結果的に今までの内輪だけで仲良くしていたカープの方針なら、黒田は帰ってこなかったことは間違いないと思います。その前段として、外様である石井琢朗の存在、新井コーチの存在は7年前のカープではなかったことです。
で、何を言いたいかというと、マスコミもSNSも(私の周りも)やれ神だ男だと好き勝手いってますが、黒田はそんな簡単に金よりカープなんて決められたわけでなく、すごい苦渋の選択なんです。「これが最後の決断。最後にどこでなげるか」という終わりを見据えた決断なのであって、そこまで彼を囃し立てるならば、ここはだまって彼を見守るべきなのではないかと思うのです。
これは彼の人生にかかる決断なわけです。もう2度とメジャーのマウンドに立てないんです。彼は自らあらゆるものを捨ててしまったのです。なんでそれをわかってあげれないのかなと思います。「彼なら絶対やってくれる、最低10勝、優勝いける」とかそういう問題じゃないし、安易にそんなことを言うべきじゃないと思うんですけどね。どんどん祭り上げることによって、何もいいことは生まれません。彼に余計なプレッシャーを増やすだけです。
私は30年間、自称カープファンですが、今のカープファンという皆さんの今回の対応にいら立ちを感じています。
また、この会見を見て、改めて新井という選手のあの7年前総スカンをくらった涙の意味を考え直すべきなんじゃないかと思うのです。「好きだから出ていくんです」という言葉にみんな金目当ての最悪な奴と見ました。しかし、本当にそんな奴なら黒田がここまで毎年彼と連絡とっていたでしょうか?私は新井のことはずっと気になっていましたが、やっと今回の黒田の会見で、あの時の真実を解く鍵が見えてきた気がするのです。
そして、黒田や新井が変わったのではなく、松田元や球団が少しづつ変わってきたのではないかと睨んでます。だからこそ、カープファンはもっと大人になって冷静に見ていくべきだと思うのですが、こんなこという人いませんね~。独り言です。