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喜劇

大ファンである松たか子さんが主演する連ドラ、大豆田とわ子という最高のドラマに出会い、松たか子という女優の極めつけのような作品だな~と毎週感動していました。しかし、何と来週が最終回。連続ドラマって12回あると思っていた私が、10回で終わることにショックを隠し切れないわけです。これ以上の松たか子主演ドラマはないかもしれんな~、と。40代半ばの松さんが、恋愛コメディでいまでも主役なわけですよ!しかも、極めて都会的で洗練された、知的で上品でオシャレで洒落の利いたドラマ。これがすごいじゃないですか。いや、オシャレで洒落のきいたというのは、日本語としておかしいですね。本来どちらも同じ意味ですからね。洒落というのは、ユーモラスということで、コメディというのは本来「洒落ているもの」のはずです。この大豆田というドラマ、いわゆるラブコメディというジャンルになるのでしょうが、垢ぬけている=洒落ている=コメディ、つまりこれは喜劇といえるのでしょう。

喜劇というと、日本ではエノケン、ロッパに始まるともいえますが、笑い=喜劇というのが定説でしょう。でも、もしそうであれば「笑劇」と呼ぶげき、いやべきでしょう。それが、なぜか「喜劇」と呼ぶってことは、喜劇=笑いだけではないのではないでしょうか?つまり、人の喜びを演じるものが喜劇で、その中に笑いという要素が大きく占めているということになります。

先日、伊東四朗のドキュメントをNHKでやっていて、じっくりみたのですが、彼は83歳。菅家てみれば、エノケンやロッパの現役時代を生で見ていて、森繁や渥美清の浅草時代もみている最後の世代なんですよね。電線マンでの小松とのコンビは有名ですが、それ以前のてんぷくトリオなんて「日本の喜劇人」に登場する伝説のグループですよ。そんな時代からずっと喜劇を演じてきた彼の生きざまに感銘を受けました。つまり、彼の演技にはエノケン以来の日本の喜劇文化、特に森繁の影響が大きく反映されているってことなんですよ。たまたま最近、戦後間もない頃の森繁主演の「重森君上京す」という映画を見ていて、ほんと素敵な映画で感動していたのですが、森繫というこの捉えどころのない役者に魅了された伊東四朗の気持ちが少しわかりました。もちろん、社長シリーズなんかはたくさん見ましたが、あれ以前の夫婦善哉などの人情劇を含めて、やはり彼も喜劇を演じてきんだな~と思いました。人間の悲哀を演じても、その中にささやかな喜びがある、いやあってほしい。それが喜劇なんでしょうかね。

てなわけで、大豆田もまさに喜劇であるといいたいわけですよ。うまくいかないこといっぱいありますけど、その中でも喜びはあると願いつつ、やたら真面目になってしましましたが、今日はこのへんで。安芸門徒鉄次とその日記、また来週!(大豆田とわ子風)